増え続ける空き家 その2
2023/03/082023/04/01
空き家問題
原因2 管理や活用の問題を抱える空き家所有者
2015年5月に空家等対策特別措置法が施行されてから、「空き家問題」という言葉を耳にする機会が多くなっています。
そして、空き家問題は所有者側の視点ではなく、近隣住民側の視点で語られることがほとんどです。
その結果、「空き家は地域の景観や安全を損なうものである」という負のイメージがついてしまいました。
しかし、空き家を巡る問題のほとんどは、所有者が悪で近隣住民は被害者という単純なものではありません。
所有者自身も、空き家の管理や活用について問題を抱えていることが多いのです。そして、所有者が抱える問題の多くは、法律や税制、もしくは物理的な問題であることが多いため、簡単に解決することができないのです。
所有者が抱える問題
空き家の多くは高齢者が住んでいた自宅もしくは親から子供たちが相続した実家です。
そのため、空き家には家族との想い出が詰まっており、利活用することに抵抗があるという方が多くいらっしゃいます。
それぞれの立場でどのような問題を抱えているのか解説します。
■親が自宅を所有している場合
■2つの空き家問題 親が自宅を所有している場合
高齢になる親が老人ホームなどの高齢者住宅や子供宅などに転居して自宅が空き家になった場合、自宅を利活用するにはいくつもの壁があります。
片づけを始めても昔のことを思い出してなかなか整理が進まなかったり、最期は家に戻りたいと思っていたり、認知症を患い利活用の判断ができなくなってしまっていたりといったものです。
たとえ、子供たちから管理が大変だという理由などから売却を勧めても、同意してくれる親は多くありません。このようなことから高齢者の自宅は長い間、空き家状態になってしまっているのです。
■子供が実家を相続している場合
■2つの空き家問題 子供が実家を相続している場合
実家の利活用に躊躇するのは親だけではありません。
子供たちが相続した後も実家の利活用は簡単ではないのです。
子供たちは実家から離れた場所に住んでいることが多く、利活用についてどこに相談すれば良いのか分からないのです。
また、利活用について兄弟間で争いになってしまうケースも多々あります。
兄弟の一人が売却することを主張し、別の兄弟が売却に強く反対するといった具合です。両方とも親の気持ちを代弁しますが、どちらの主張が正しいとも言えず、妥協することも難しいのが現状です。
対策
空き家である間は適正管理が必要
このように、自宅や実家が空き家になってしまう理由は十人十色。
さらに、利活用ができるようになるまで数年、長いと10年以上かかることもあります。
その間、誰も利用していない住宅は一気に傷んでしまいます。老朽化が進むと屋根や外壁などの建材が剥がれ落ちたり、建物が傾いて倒壊する危険性が高まったりとさまざまな問題を引き起こしてしまいます。
また、庭の管理が不十分な場合、生い茂った庭木や雑草が景観を乱すだけでなく、蚊やスズメバチや害獣(ネズミやハクビシン等)を発生させてしまうこともあります。
そうならないためにも、所有者は所有する空き家を適正に管理する必要があります(所有者が管理できない場合はその配偶者や子供が代理で適正管理を行う必要があります)。
空き家の管理が行き届いておらず、周辺環境に悪影響を及ぼしてしまっている場合、平成27年5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、行政からの指導や処分が行われるようになりました。自身での管理が難しい場合は代行業者に依頼しましょう。