大規模オフィスの大量供給――2023年問題②
2023/04/072023/04/07
大規模オフィスが竣工
2023年の大規模オフィスの供給量は130万平米を超える見通しです。
これは21年が61万平米、22年が49万平米だったのと比べてみると2倍以上の供給量となり、直近の10年を振り返ってみても、一番多かった20年の185万平米、2番目に多かった18年の147万平米に次ぐ、3番目となります。
新型コロナウイルス感染症の拡大にともなって、最初の緊急事態宣言が発令された2020年4月、政府より「出勤者数の7割減」が目標として掲げられ、在宅勤務・テレワークの導入が求められました。
オフィスの移転や縮小を検討する企業も現れましたが、東京都心5区のオフィスの平均空室率が5%を超えたのは翌年の2021年でした。
2022年に入っても空室率は上昇し、6%台で推移していました。
そのような中での2023年の大規模オフィスの大量供給は、都心オフィスの供給過多を招き、さらなる空室率の上昇とオフィスの平均賃料の下落を予感させます。
数年前、新築大型ビルであれば、完成前に全テナントが決まっていた状況とは打って変わって、今後は、テナント獲得のために、フロアを分割しての契約や一定期間の賃料が無料となるフリーレント、内装費等の初期費用を負担するなど、貸し手にとっては厳しい状況が数年は続くとの見通しもあります。
2023年問題②で影響があるのは?
大規模オフィスの大量供給によって、周辺にある既存ビルの空室率上昇や賃料の下落が予想されます。
貸し手にとっては、死活問題となる一方で、オフィス移転を考えている企業にとっては追い風となり、条件面でも交渉がしやすい状況といえるでしょう。
2023年に竣工予定の大規模オフィスビルの一部
・東宝日比谷プロムナードビル(千代田区)
・麻布台ヒルズ(港区)
・虎ノ門ヒルズ ステーションタワー(港区)
・東京三田再開発プロジェクト オフィスタワー(港区)
・田町タワー(港区)
・渋谷桜丘プロジェクト(渋谷区)
・五反田計画(品川区)